下河辺:先生は、自由民主党の競馬推進議員連盟の会長でいらっしゃいますが、競馬推進議連には、中央競馬、地方競馬、私ども馬主や生産者を含めて競馬界全体がたいへんお世話になっています。
この競馬推進議連が設立されたのは、いったいどういった経緯だったのでしょう。
橋本:基本的にいい状況のものについては、議連というのはできないんですね。「状況が悪くなってきたものを、どう支援していくか。」ということで議連ができることが多いのです。
下河辺:ああ、なるほど。
橋本:私は、小さいころから札幌をはじめ帯広、岩見沢、旭川、北見といった競馬場にも父に連れられてよく行っていたんです。このような環境に育ったこともあり、競馬を取り巻く状況が悪くなってきて、北海道の競馬場がどんどん縮小されていくのを見て、「これから競馬はどうなってしまうんだろう、これからの競馬全体のイメージをどう描いていけばいいのだろう。」というのは、議員になる前からずっと気にしていたのです。
議員になってから、競馬を開催する各地の自治体等からもいろいろな陳情があって、どうにかしなければと思っていたのですが、競馬推進議連設立の最終的なきっかけになったのは、島根県の益田競馬場の閉鎖ですね。
下河辺:平成14年でしたね。
橋本:はい。それで、当時、青木(幹雄)先生が中心になって競馬推進議連を作ったんです。私は事務局長ということになったのですが、幹事長に就任された鈴木政二先生がとても熱心にやってくださったんです。
中央競馬、地方競馬、それに馬産地を含めた勉強会をずいぶんやりました。議連の先生方も、競馬は好きだけれど競馬の仕組みについては詳しくないという方もいらして、中央競馬と地方競馬の違いから勉強を始めました。
下河辺:そうですか。
橋本:その中で出てきたのは、「競馬サークル全体の体質を改善しないといけない。」ということでした。馬産地で育った私には当たり前に思えていたことが、傍から見ると常識外れだと言われて、私自身がとても勉強になりました。
まず先生方から指摘されたのは、「そもそも中央競馬と地方競馬が別々のものとしてある一国二制度がおかしいのではないか、一国一制度にすべきだ。」ということなんです。もっともなお話なのですが、これを言うと、競馬の世界の人はドン引きしちゃうんです(笑)。
下河辺:そうでしょうね(笑)。
橋本:それで、「いまできること」と「いずれやらなければならないこと」を分けて考えようということにしたんです。
それから、「まだ努力すればどうにかなるという段階では何もしないで、困ったから国や自治体に頼るというのはおかしい。」「売り上げがあった時代には収入に貢献したんだから、助けてもらって当然という考え方はおかしい。」という意見もありました。
下河辺:そうなんです。道営競馬もまさにそうでしたね。昔のことを言ってもしかたない、いま何ができるか、何をしなければならないかを考えないといけないですね。
橋本:ただ、もう努力することすらできないという危機的な状況になってしまって、中央も地方も改革せざるを得ないという認識ができたんですね。それで、競馬サークル全体が協力していただけるようになったのだと思います。