森:日本の生産者にとっても喜ばしいことです。その生産、セールに関してですが、JRAが行っているブリーズアップセールは、すでに一定の評価を得ています。新規馬主だけが購入できるセッションを設けるなど非常に工夫もされていますが、反面、購買価格が上がって来た印象もあります。
後藤:確かに高値をつけることもありますが、じつは平均価格を比較してみますと、第1回が1,113万円だったのに対して12回目の昨年が1,001万円で、一概に上がっているわけでもないんですよ。
森:なるほど。ではかつてのように上場馬をランク分けして落札金額に上限を設けるとか、さらに手軽に購入しやすくする方向にはいかないものでしょうか。
後藤:セールに関しては何か馬主様側から斬新で良いアイデアがあれば、むしろどんどん頂戴したいと思っています。またブリーズアップセールは、JRAが一定数の馬を生産地から買い上げて、約1年弱の育成を経て上場する中で得た知見を生産地に還元するという意味もあります。
森:この点に関しては、馬産地の活性化になると生産牧場も喜んでいるようです。JRAに買っていただけると、良い馬を生産できた証拠だというステータスになるという話も聞いたことがあります。
後藤:それは嬉しい話です。
森:昔と比べて、庭先ではなくセールで買う馬主さんは増えていますが、さまざまなセールに参加する馬主の利便性をさらに高めていく考えはございますか。宿泊とか、日程調整とか、あるいはインターネットのせりの実施などです。
後藤:せり市場の活性化については、私たちも可能な限りの支援はしていきたいと思っています。インターネットのせりに関しては、生き物の取引で、特にデビュー前の馬は実馬を見て購買を検討するのが基本だと考えているので、難しい面はあります。ただ一方では楽天オークションなどが実際に動いていて、盛況であることは承知しています。こういった動きは注視していくつもりです。