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―これから馬主になる方にアドバイスをするとしたら、何とおっしゃりますか?

コパ:もしお金が儲かっちゃって、誰かに誘われて馬でも持とうかと思ったのなら、1年間だけ待って、競馬をご覧になってみてください。そして、まずは競馬を好きになってください、と伝えたいですね。

―なるほど、その順番が大事なのですね。

コパ:そうです。そして晴れて馬主になったら、早く自分で1頭を持って、自分の勝負服で走らせることをお勧めします。もちろん10分の1などの共有が悪いわけではないんですが、自分で1頭持つことで得られる楽しさや愛着は、やはり格別だと思うんです。僕は東京馬主協会で入会審査の役員をやっていましたが、そこでも必ずこのことは伝えるようにしていました。

―近年は新しい馬主さんがいきなり高い馬を買われるケースも目立ちます。

コパ:何億円とか、すごいですよね。僕の場合、安い馬は良いところも悪いところも全部見えるけど、1000万円を超えると目が眩んで全部良く見えちゃうんです(笑)。あるとき、僕が今まで買った馬の価格の平均を女房が計算したんですが、250頭くらいの平均が390万円とか、そんな感じでした(笑)。

―馬主として、今後の夢は何ですか?

コパ:これは訊かれるといつも「ダービーに馬を出すことです」と答えているんです。まだ出たことがないので。でも、いざ冷静に自分の持ち馬を眺めると、見事にダートの短距離馬ばかりなんですよね。これはなんとなくカッコイイから「ダービー」と言ってるだけで、本心はそう思っていないんじゃないかと、自分で疑い始めているところです(笑)。小林 祥晃オーナー

―いやそうおっしゃらず、凱旋門賞なんてどうですか。

コパ:でも今、自分の持っている牝馬に付けまくっているのがコパノリチャードですからね。難しいんじゃないかなあ(笑)。

―牝馬はたくさん預託されているんですか?

コパ:プライベートで種牡馬にした馬(コパノジングー、コパノフウジン、コパノリチャード)を付けるだけの牝馬は自分で持っていますが、あとは基本的に、引退したらみんな牧場に戻しています。コパノリッキーのお母さんのコパノニキータも、3勝して引退後、牧場に返した馬です。でも、どの種牡馬を付けるかは牧場と相談しています。酒を飲みながら(笑)。それでゴールドアリュールを付けて生まれたのがコパノリッキーで、それを僕がまた庭先で買ったというわけです。

―ラブミーチャンはご自身が所有したままですよね。

コパ:そうです。もうすぐゴールドアリュールの初仔がデビューする予定です。今年はコパノリチャードの仔が生まれていますよ。自分の持っている優秀な牝馬(全日本2歳優駿優勝)に、自分の持っているGI種牡馬を付けられるというのは、これは馬主冥利に尽きますね。

―心から馬主ライフを楽しんでいらっしゃいますね。

コパ:本当に面白いです。競馬の神様が、ずっと競馬を楽しんできた僕にご褒美をくれたのかなと感じています。きっと死ぬ間際まで馬主はやめないでしょうね。定年もないし、手が震えていてもできるし(笑)。いや、もしかしたらマークシートを塗り間違えて、むしろ馬券がよく当たるようになっちゃうかもしれないですね(笑)。

インタビュー後記

コパさんにはインタビュー開始前に「呼び方は“コパさん”でいいですからね」と言っていただいて、非常にリラックスした気持ちでお話を伺えたことを覚えています。風水を用いた独自の競馬観は唯一無二。それ以上に、ご自身が馬主ライフを楽しむことと、競馬ファンや牧場を含めた周囲の人々みんなを楽しませることを、こんなにも自然に、軽やかに両立させられるというのは、すごいことだとあらためて思わずにはいられません。

聞き手:軍土門隼夫
※このインタビューは平成29年7月に行ったものです、文中の競走馬や繁殖牝馬の成績はインタビュー時のものです。

小林 祥晃氏 プロフィール

小林 祥晃(こばやし さちあき)
1947年5月5日生まれ。一級建築士、神職、愛知工業大学客員教授。「Dr.コパ」として家相や風水を用いた開運術で人気を博し、著書も多数。2001年に馬主資格を取得。主な所有馬にコパノリッキー、コパノリチャード、コパノジングーなど。地方競馬の代表馬にラブミーチャンなど。

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